建設業許可に使える資格は?|営業所技術者になれる資格と、その調べ方
この記事は約13分で読めます
(2026年8月時点の法令情報です。制度は変わることがあるので、実際の判断は許可行政庁や行政書士に確認してください)
建設業許可では、資格がなくても、取りたい業種の実務経験を10年証明できれば、営業所技術者の技術面の条件を満たせます。
ただ、10年分の書類を探し始める前に、まず手元の資格を確認してみてください。
施工管理技士、技能士、建築士、電気工事士など、資格と許可業種の組み合わせが合えば、10年分の実務経験を集めずに済むことがあります。
前の会社に電話して、元請にも頼んで、古い注文書を探したあとで「その資格なら10年分は要りません」と分かることがあります。先に資格を確認しておけば、使わない書類を探す手間を減らせます。
確認する順番は3つです。
- 自分の仕事が29業種のどれに当たるか
- 手元の資格が、その業種に使えるか
- 使えなければ、資格を取るのと10年分の証明を集めるのと、どちらが早いか
資格名が似ていても、使える許可業種まで同じとは限りません。 この記事では、判断する順番と、公式資料の見方を書きます。

なお、許可の要件そのものは建設業許可、一人親方でも取れる?に書きました。 この記事はその続きです。
この記事でわかること
- 施工管理技士・技能士で、実務経験の年数が要らなくなる業種
- 現場で要る講習と、許可で使える資格が別であること
- 新旧の受検資格と、令和10年度までの経過措置
現場で助かる資格と、許可で使える資格は違います
現場では、資格を持っている人がいると助かります。任せられる作業が増えるからです。
ただし、そこで役に立つ資格と、建設業許可で使える資格は、同じではありません。
玉掛け技能講習、フルハーネスの特別教育、職長・安全衛生責任者教育。 このあたりは、2026年8月時点の、一般建設業の営業所技術者に関する有資格コード一覧には載っていません。
いずれも現場の作業や安全のための講習・教育です。許可で使える資格とは役割が違うので、別に確認してください。
現場で役立つ資格をいくつ持っていても、それだけで営業所技術者の技術面の条件を満たすとは限りません。 まず、有資格コード一覧に載っているかを確認してください。
資格で営業所技術者の技術面の条件を確認するなら、まず有資格コード一覧を見ます。 施工管理技士・技能士・建築士・技術士・電気工事士・消防設備士などが、許可業種ごとに並んでいます。
なお、登録型枠基幹技能者などの登録基幹技能者は、一覧に載っています。 ただし、登録基幹技能者として認められるのは、単一の建設業の種類について10年以上の実務経験がある場合です。10年を飛ばす近道にはなりません。
資格をすでに持っている人は、ここから確認
手元の資格だけで技術面の条件を満たせるなら、10年分の実務経験を集めずに済みます。 まず、自分の資格に追加の実務経験が要るかどうかを確認してください。
施工管理技士で確認する
多くの業種では、対応する施工管理技術検定の第二次検定に合格していれば、それだけで営業所技術者の技術面の条件を満たせます。
それとは別に、一定の施工管理検定に合格したあと、許可を取りたい業種で3年または5年の実務経験を積むルートもあります。
ただし、施工管理技士だけですべての業種をカバーできるわけではありません。 機械器具設置・さく井・消防施設・清掃施設などは、施工管理技士とは別の資格や実務経験のルートも確認してください。たとえばさく井工事業には「さく井」の技能士、消防施設工事業には消防設備士があります。
次は、施工管理技術検定の第二次検定で確認しやすい組み合わせのうち、18業種を抜粋したものです。全業種を網羅した表ではありません。 旧資格や経過措置、ほかの国家資格も省いています。自分の資格が使えるかは、表だけで決めず、後述の有資格コード一覧で確認してください。
| 業種 | まず確認する資格(施工管理技士・第二次検定の合格) |
|---|---|
| 土木工事業 | 建設機械施工管理/土木施工管理の1級・2級。2級土木は種別が土木 |
| 建築工事業 | 建築施工管理の1級・2級。2級は種別が建築 |
| 大工工事業 | 建築施工管理の1級・2級。2級は種別が躯体または仕上げ |
| 左官工事業 | 建築施工管理の1級・2級。2級は種別が仕上げ |
| とび・土工・コンクリート工事業 | 建設機械施工管理/土木施工管理/建築施工管理の1級・2級。2級土木は土木または薬液注入、2級建築は躯体 |
| 屋根工事業 | 建築施工管理の1級・2級。2級は種別が仕上げ |
| 電気工事業 | 電気工事施工管理の1級・2級 |
| 管工事業 | 管工事施工管理の1級・2級 |
| タイル・れんが・ブロック工事業 | 建築施工管理の1級・2級。2級は種別が躯体または仕上げ |
| 鋼構造物工事業 | 土木施工管理/建築施工管理の1級・2級。2級土木は土木、2級建築は躯体 |
| 鉄筋工事業 | 建築施工管理の1級・2級。2級は種別が躯体 |
| 舗装工事業 | 建設機械施工管理/土木施工管理の1級・2級。2級土木は種別が土木 |
| 塗装工事業 | 土木施工管理/建築施工管理の1級・2級。2級土木は鋼構造物塗装、2級建築は仕上げ |
| 防水工事業 | 建築施工管理の1級・2級。2級は種別が仕上げ |
| 内装仕上工事業 | 建築施工管理の1級・2級。2級は種別が仕上げ |
| 電気通信工事業 | 電気通信工事施工管理の1級・2級 |
| 造園工事業 | 造園施工管理の1級・2級 |
| 解体工事業 | 土木施工管理/建築施工管理の1級・2級。2級土木は土木、2級建築は建築または躯体。平成27年度までの合格者は、解体工事の実務経験1年以上か登録解体工事講習の受講が別に必要 |
2級の第二次検定には「検定種別」があります。 建築施工管理なら建築・躯体・仕上げの3つ、土木施工管理なら土木・鋼構造物塗装・薬液注入の3つです。2級建設機械施工管理も、第1種から第6種までに分かれています。 手元の合格証に書かれた種別も確認してください。
どの種別を受けられるか、どの実務経験を使えるかは、受検資格によって変わります。 申し込む前に、試験実施機関の受検案内で確認してください。
技能士で確認する
技能士とは、国家検定である技能検定に合格した人のことです。 職種ごとに1級・2級(職種によっては3級)があり、合格すると「1級型枠施工技能士」のように名乗れます。
1級の技能士は、資格に対応する許可業種であれば、合格後の実務経験年数を問われません。
2級の技能士は、原則として合格後3年以上の実務経験が必要です。ただし、平成16年(2004年)4月1日の時点ですでに合格していた人は、1年以上です。 古い合格証をお持ちの方は、ここを確認してください。
★いずれも、持っている技能士の職種・作業が、取りたい許可業種に対応している場合に限ります。 資格名だけで判断しないでください。
この表も候補を探すためのものです。 同じ職種でも、作業名や合格時期によって扱いが変わる場合があります。 表だけで決めず、有資格コード一覧の注記まで確認してください。
| 業種 | 対応する主な技能検定の職種・作業 |
|---|---|
| 大工工事業 | 建築大工、型枠施工 |
| 左官工事業 | 左官 |
| とび・土工・コンクリート工事業 | とび、型枠施工、コンクリート圧送施工、ウェルポイント施工 |
| 石工事業 | ブロック建築、石材施工 |
| 屋根工事業 | 建築板金、かわらぶき |
| 管工事業 | 建築板金、冷凍空気調和機器施工、配管 |
| タイル・れんが・ブロック工事業 | タイル張り、築炉、ブロック建築 |
| 鋼構造物工事業 | 鉄工 |
| 鉄筋工事業 | 鉄筋施工(鉄筋施工図作成作業と鉄筋組立て作業の両方) |
| 塗装工事業 | 塗装、路面標示施工 |
| ガラス工事業 | ガラス施工 |
| 内装仕上工事業 | 畳製作、内装仕上げ施工、表装 |
| 解体工事業 | とび |
業種によって細かい条件が付くものもあります。 上の鉄筋工事業のように2つの作業への合格が要るものや、選択科目の指定がある職種もあります。
最後は、公式の一覧で確かめる
認められる資格は業種ごとに違います。 確認する場所は3つです。
| 何を確認するか | どこを見るか |
|---|---|
| 自分の仕事がどの業種か | 国土交通省「建設工事の種類、工事内容及び許可業種の分類」 |
| その業種にどの資格が使えるか | 許可行政庁が出している有資格コード一覧 |
| 条文そのもの | 建設業法施行規則の別表 |
順番は上からです。 最初に業種を確認しておくと、そのあとの資格と年数を同じ基準で調べられます。
資格だけで技術面の条件を満たせると確認できた人は、ここで資格探しは終わりです。 許可行政庁へ、資格の証明書と、ほかに必要な添付資料を確認してください。
資格に加えて実務経験が要る人は、その年数と証明資料も確認してください。
どちらの場合も、新しく資格を取る予定がなければ、次の「よくある質問」まで飛んでください。
使える資格がなかった人だけ、ここから先へ
ここからは、これから資格を取ろうとする人の話です。 10年分の証明を集めるのと、どちらが早いかを比べるための材料になります。
その試験を受けるにも、条件があります
第一次検定のほうは、年齢だけです。
- 2級:その年度末の時点で17歳以上
- 1級:同じく19歳以上
学歴も実務経験も要りません。
条件が付くのは第二次検定です。 令和6年度から受検資格が変わりました。
次は、多くの検定種目に共通する主なルートです。このほかに、建築士・技術士・電気工事士などを起点とする検定種目別のルートがあります。
| 級 | 令和6年度からの主な受検資格 |
|---|---|
| 2級 | 2級の第一次検定に合格した後、実務経験3年以上(建設機械施工管理は2年以上)。1級の第一次検定に合格した後なら1年以上 |
| 1級 | 1級の第一次検定に合格した後、実務経験5年以上。特定実務経験を1年以上含む場合は3年以上、監理技術者補佐としての経験なら1年以上。2級の第二次検定に合格した人にも、1級の第一次検定の合格などを条件とするルートがあります |
ここにない受検資格もあります。 受けたい検定の試験実施機関が出している、最新の受検案内で確認してください。
令和10年度までは、改正前の受検資格も選べます
先ほどの表に載せた主なルートでは、第一次検定に合格した後の経験を数えます。 そのため、このルートを使う場合は、これまで20年の経験があっても、第一次検定に合格してから必要な年数を積むことになります。
建築士や技術士などを起点とする別ルートは、数え方が違います。
一方、原則として令和10年度までは、改正前の受検資格でも第二次検定を受けられます。 改正前は学歴に応じた実務経験で見ていました。こちらにも検定種目や保有資格による別ルートがあります。 次は学歴から確認する主なルートです。
| 学歴 | 改正前の2級・第二次検定にある主な学歴ルート |
|---|---|
| 大学の指定学科 | 卒業後1年以上 |
| 大学(指定学科以外) | 卒業後1年6か月以上 |
| 短大・高専の指定学科 | 卒業後2年以上 |
| 短大・高専(指定学科以外) | 卒業後3年以上 |
| 高校の指定学科 | 卒業後3年以上 |
| 高校(指定学科以外) | 卒業後4年6か月以上 |
| 学歴の条件を使わない場合 | 8年以上 |
経過措置には続きがあります。 令和6年度から令和10年度までに有効な第二次検定の受検票を受け取った人は、一定の条件のもとで令和11年度以降も同じ第二次検定を受けられます。ただし、旧2級学科試験の合格者などは別の扱いです(合格年度を含む12年以内かつ連続2回という別の期限があります)。該当しそうな人は、試験実施機関へ確認してください。
技能検定のほうの受検資格
技能検定そのものの受検資格は、2級は実務経験2年、1級は実務経験7年が基本です(学歴や下位の級に合格していると短くなります)。3級は年数の下限がありませんが、その検定職種に関する実務経験は必要です。
多くの職種は都道府県の職業能力開発協会が実施しますが、民間の指定試験機関が実施する職種もあります。受けたい職種の実施機関を確認してください。
どちらが早いかは、学歴・検定種目・これまでの仕事の中身で変わります。 現場を長くやってきた人は改正前のほうが近いことが多いですが、決め打ちせず、受検を決める前に試験実施機関の受検案内で確認してください。
よくある質問
Q. 資格を取るのと、10年分の証明を集めるのと、どちらが早いですか?
すでに1級技能士を持ち、その職種・作業が取りたい許可業種に対応していれば、10年分の実務経験を集めるより、資格で確認するほうが早いことがあります。 証明書は手元にあり、前の会社に頼まずに済むからです。
持っていない場合は、前の会社や元請から書類がすぐ出てくるかどうかで変わります。資格を取るまでの期間と、10年分の資料をそろえられる見込みを並べて、自分が進めやすいほうを確認してください。
Q. 資格を取れば、実務経験は要らなくなりますか?
ここは2つの話が混ざりやすいところです。
① 建設業許可で必要になる10年の実務経験は、使わずに済むことがあります。対応する施工管理技士の第二次検定や1級技能士などを持っていれば、資格で営業所技術者の技術の要件を満たせる業種があるからです。
② その資格をこれから取る場合は別の話です。 第一次検定は年齢だけで受けられますが、第二次検定には、第一次検定に合格した後の実務経験など、ルートごとの受検資格があります。 建築士や技術士などを起点とする別ルートもあり、必要な経験は検定種目で違います。試験実施機関の受検案内で確認してください。
資格だけで技術面の条件を満たせる場合は、前の会社へ10年分の証明を頼まずに済みます。 ただし、2級技能士のように、合格後の実務経験も確認される資格があります。
Q. 昔とった2級の資格があります。使えますか?
使える可能性があります。 2級の技能士は原則として合格後3年以上の実務経験が必要ですが、平成16年(2004年)4月1日の時点ですでに合格していた人は1年以上とされています。
古い合格証はしまい込まずに、探してみてください。
まとめ:確認する順番は3つです
1. 自分の仕事が29業種のどれに当たるかを確認する
ここを間違えると、あとの全部が別の業種の話になります。
2. 手元の資格が、その業種に使えるかを有資格コード一覧で確認する
資格名が似ていても、対応する許可業種まで同じとは限りません。
3. 使える資格がなければ、資格を取る道と10年分を証明する道を比べる
資格を取るなら、新旧どちらの受検資格を使えるかを試験実施機関で確認します(第一次検定は年齢だけ。2級17歳、1級19歳)。10年の実務経験を使うなら、必要な証明資料を許可行政庁に確認してください。
10年分の書類を探し始める前に、まず業種を決め、手元の資格を有資格コード一覧で確認する。
使える資格がなければ、資格を取るまでの年数と、10年分を証明するための資料を並べます。前者は試験実施機関、後者は許可行政庁で確認できます。先に順番を決めておけば、使わない書類を探す遠回りを減らせます。
要件に当てはまるかどうかの最終的な判断は、許可行政庁か行政書士に確認してください。
許可の要件そのものは建設業許可、一人親方でも取れる?に、金額の線引きは建設業許可はいくらから必要?に書いています。
許可行政庁や行政書士から集めるよう案内された資料を、工事名・日付・会社名ごとに整理する作業は、トランジットでお手伝いできます。XのDM(@transit_40)かLINEからどうぞ。許可の申請書の作成や官公署への提出はお受けできません(行政書士の領域です)。
なお最初のご相談では、個人情報の入った書類を送らないでください。 まず、取りたい許可業種・整理したい期間・手元にある書類の名前だけを教えてください。
出典
- e-Gov法令検索:建設業法(昭和24年法律第100号)7条
- e-Gov法令検索:建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)別表
- 国土交通省:建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧(2025年12月18日施行)
- 国土交通省:令和6年度以降の技術検定制度概要
- 国土交通省:建設工事の種類、工事内容及び許可業種の分類
- 一般財団法人建設業振興基金:建築施工管理に関する実務経験と対応する受検種別について
- 厚生労働省:技能検定の受検に必要な実務経験年数一覧
あわせて読みたい
- 建設業許可、一人親方でも取れる?|4つの要件と、実務経験を証明する書類の集め方
建設業許可の要件は4つ。現場を長くやってきた人でも、年数を証明する書類がそろわず止まることがあります。手元にない記録をどこから探すか、会社がなくなっている場合の扱い、資格で年数の要件が変わるルートまで。
- 建設業許可はいくらから必要?|一人親方の「500万円」の数え方と、取るかどうかの判断
建築一式工事以外で建設業許可が要るのは、1件500万円から。税込みで見る、1つの工事の完成を分けて請けたら原則合計、支給材料は市場価格を足す——500万円の数え方を確認します。許可の4つの要件と、取ったあとに毎年かかる手続きまで。
- この書類、誰に頼めばいい?|税理士・行政書士・社労士と、事務代行の分かれ目
一人親方の書類は、誰に頼めばいいのか。手元の書類から引ける早見表と、提出先だけでは決まらない理由を、条文で確認して整理します。見積書・作業員名簿・建設業の許可の具体例つき。