建設業許可はいくらから必要?|一人親方の「500万円」の数え方と、取るかどうかの判断

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(2026年8月時点の法令情報です。制度は変わることがあるので、実際の判断は許可行政庁や行政書士に確認してください)

建築一式工事以外では、1件の請負代金が500万円以上になると、建設業の許可が必要です。 500万円未満なら、原則として要りません。

ただし、契約書に書かれた金額だけでは決まりません。 金額を数えるときの注意が3つあります。

  • 消費税を含めます
  • 1つの工事の完成を複数の契約に分けたときは、原則として合計します(ただし、正当な理由に基づいて分けた場合は別です)
  • 支給された材料は、その市場価格(運んでもらったなら運送賃も)を足します

税抜き480万円は、税込みだと528万円。手間だけで400万円でも、200万円分の材料を出してもらえば600万円として数えます。

追加工事が同じ工事の一部にあたり、合計して500万円(建築一式工事は1,500万円)が見えてきたら、契約する前に許可行政庁(都道府県の建設業担当課)へ確認してください。

建築一式工事以外の場合の、500万円の数え方。契約書の金額だけで決めない。①消費税を含めると税抜き480万円は税込み528万円 ②1つの工事の完成は合計で、当初300万円と追加200万円で500万円 ③支給材料も足して、手間400万円と材料200万円で600万円。500万円以上が見えたら契約前に許可行政庁へ確認

工事の種類許可が要らない範囲
建築一式工事以外(型枠・鉄筋・内装など)1件の請負代金が500万円未満
建築一式工事1件の請負代金が1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅

多くの一人親方は、上の行にあたります。

建築一式の行は「または」です。請負代金が1,500万円を超えていても、延べ面積150平方メートル未満の木造住宅なら、軽微な工事に入ります。 なおここでいう木造住宅は、国土交通省の説明では主な構造が木造で、延べ面積の2分の1以上を住まいとして使うものとされています(店舗との併用住宅も、住まいの部分が半分以上なら入ります)。

急いでいる方は、ここまでで一度、自分の金額を数えてみてください。

ただし、これは大まかな線です。例外にあたる場合もあります。 この先で、条文の根拠と、その例外、そして許可を取るかどうかの判断材料を書きます。

この記事でわかること

  • 500万円の数え方3つ(税込み・分けた契約は合計・支給材料も足す)
  • 500万円が、どれくらいの仕事量にあたるか
  • 許可の要件4つと、取ったあとに毎年かかり続ける手続き

なぜ、この話を書くのか

会社が建設業の許可を取ったとき、社長と事務の人が古い請求書を探していました。10年くらい前のものまでさかのぼっていたと思います。

一方で、一人親方で許可を持っている人は、見たことがありません。 人数がいる会社が取るもの、という感覚が現場にはあります。

ただ、法律のほうはそう書いていません。許可は個人でも取れます。 長く現場にいる人なら、営業所技術者の実務経験に近いところにいる場合もあります。ただし現場の年数を全部そのまま数えられるわけではなく、取りたい業種と証明資料の確認が要ります。

晴れた日の建設現場。6人の職人が、資材の運搬、図面の確認、鉄筋の結束をそれぞれ同時に進めている

3つの数え方を、条文で確かめます

金額の線そのものより、数え方のほうで足をすくわれます。

契約を分けた場合と支給材料の扱いは施行令に書かれていて、消費税については国土交通省が「税込みで見る」と案内しています。

1つめ:消費税を含めた額で見ます

国土交通省の資料で、500万円・1,500万円は税込みの請負代金とされています。

税抜き480万円の仕事は、税込みだと528万円です。 「480万だから大丈夫」と思っていたら、線を越えています。

2つめ:分けて請けても、合計で見ます

建設業法施行令1条の2第2項です。

前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。

1つの工事の完成を2つ以上の契約に分けたときは、合計で判断するということです。ただし、正当な理由があって分けた場合は別と書かれています。

3つめ:材料を出してもらったら、その分を足します

同じ政令の3項です。注文者が材料を提供したときは、その市場価格(運んでもらったなら運送賃も)を請負代金に加えた額で見ます。

手間だけで400万円でも、支給された材料が200万円分あれば、600万円として数えます。

追加工事で、積み上がっていく場合

いちばん起きやすいのが、これだと思います。

最初の契約は300万円ほどだったとします。そこから同じ現場で追加が出て、積み上がっていく。気がついたら、合計で500万円を超えている。

ここで効いてくるのが、2つめです。1つの工事の完成を分けて請けたのなら、合計で見ます。 追加のぶんが「同じ工事の一部」なのか「別の工事」なのかで扱いが変わり、正当な理由があって分けた場合は別扱いになります。

だから、動作としてはこうなります。

追加が積み上がってきたら、同じ工事の完成のために請けた金額を、一度合計してみてください。 500万円が見えてきたら、そこで許可行政庁に聞くのがいちばん確実です。

500万円は、どれくらいの仕事量なのか

金額だけ言われてもイメージがつかみにくいので、私がいた型枠で当てはめてみます。

ここから先は型枠の話です。業種が違えば、単価も、一日に進む量も変わります。 数字そのものではなく、当てはめ方を見てください。

型枠は平米単価の世界です。仮に平米5,000円として、1,000平米で500万円になります。単価は工種や地域、打放しかどうかでかなり動くので、これは計算のために仮に置いた数字です。相場として受け取らないでください。

では、1,000平米はどれくらいの仕事量か。

型枠で、一人が1日に叩ける量は15平米から30平米くらいが目安です。暑さや、その現場の作業のしやすさ、段取りの良し悪しで変わります。

1,000平米にかかる日数(型枠の目安)
一人33日〜67日(月20日出るとして、1か月半〜3か月半
3人11日〜22日
5人7日〜13日

決められた工期がこれより短ければ、一人では収まりません。応援を呼ぶことになります。

型枠では、500万円くらいの仕事と、人を集める場面が重なりやすい。 現場で見てきた感覚では、そう言えます。ただし、材料費の割合や一日に進む量は職種によって違うので、そのまま当てはまるとは限りません。

許可の話が出てくる場面と、人を集める場面が重なるなら、応援を呼ぶときに何を確かめるかも一緒に見ておくと早いです。そこは再下請負通知書の記事に分けて書きました。

ご自身の職種の単価と、一日に進む量で置き換えてみてください。 「500万円なんて自分には関係ない」と思っていた人ほど、一度やってみる価値があります。

「要らない」と「取らなくていい」は別の話です

ここまでは「要るか、要らないか」でした。ここからは「取るかどうか」です。

軽微な工事しか請けないなら、法律上は許可なしで営業できます。ただ、建築一式工事以外では、許可を持っていないと500万円以上の仕事を請けられません。 話が来ても断ることになります。

私が見てきた型枠の現場では、3人ほどで動いて、年間の請負額が1,500万円から2,000万円ほどになる例もありました。 ただしこれは型枠での一例で、職種・単価・材料費・稼働日数によって大きく変わります。

年間の額と、許可の線(1件ごと)は別の話なので、そのままでは比べられません。ただ、その規模で動いているなら、1件500万円の仕事が視界に入ってくるということでもあります。

そこまで来たら、許可は「取れない遠いもの」ではなく、選択肢のひとつになります。

要件は4つ。現場年数だけでは決まりません

一般建設業の許可の基準は、建設業法7条に4つ書かれています。

要件中身
経営業務の管理体制個人事業主本人などに、建設業の経営を管理した経験が5年以上あることなど(施行規則7条)。開業から5年たてば自動で認められるわけではなく、経験を確認できる資料が要ります
営業所技術者営業所ごとに専任で置きます。資格がなくても、取りたい許可業種の工事について10年以上の実務経験があれば要件を満たす場合があります(7条2号ロ)
誠実性請負契約について不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと
財産的基礎自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力、または直前5年間の許可継続

年数の要件は、長く現場にいる人ほど近いところにあります。 ただし、現場にいた年数をそのまま全部数えられるとは限りません。 条文は「許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し10年以上」となっているので、取りたい業種と、その工事をやっていた証明が要ります。

資格を持っている場合も、許可業種ごとに認められる資格が違います。 資格によっては取得後の実務経験を求められることもあるので、資格名と取りたい業種をセットで確認してください。

なお、1つめの「経営業務を適正に行う能力」には、社会保険の届出も含まれます。健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、加入義務のある営業所は必要な届出をしていること(施行規則7条2号)。

この4つに加えて、建設業法8条の欠格要件に当てはまらないことも必要です。 過去の処分や一定の刑罰、申請書の重要な虚偽記載などに関する条件が並んでいます。心当たりがある場合は、申請の前に許可行政庁へ確認してください。

どこが壁になるかは、人によって違います。 財産的基礎の500万円だけでなく、経営経験や実務経験を確認できる資料がそろうかも、早めに確かめてください。

「専任技術者」は、もう正式名称ではありません

調べると「専任技術者」という言葉がたくさん出てきますが、2024年12月13日から、一般建設業では「営業所技術者」という名称に変わりました。 古い記事を読むときは、いまの「営業所技術者」にあたる言葉として読み替えてください。

なお、この改正は名称が変わっただけではありません。一定の条件のもとで、営業所技術者が工事現場の技術者を兼ねられる特例も設けられています。兼務を考える場合は、条件を国土交通省の資料で確認してください。

「知事」と「大臣」、「一般」と「特定」

調べ始めると、この4つの言葉が出てきます。多くの一人親方が最初に検討するのは、知事許可の一般建設業です。 ただし、一人親方という立場だけで決まるわけではありません。

知事許可か、大臣許可か。 これは営業所の場所で決まります(建設業法3条1項)。1つの都道府県の中だけに営業所があるなら知事許可、2つ以上の都道府県に営業所を置くなら大臣許可です。工事をする地域ではなく、営業所の場所で見ます。

一般か、特定か。 こちらは、発注者から直接請けた工事を、下請へいくら出すかで分かれます。1件の工事で結ぶ下請契約の合計額が5,000万円以上(建築工事業は8,000万円以上)になる場合は、特定建設業の許可が必要です(建設業法3条1項2号、施行令2条)。1社ごとの金額ではなく、その工事の下請契約の総額で見ます。

下請として工事を請ける場合や、元請でも下請契約の合計がこの金額に届かない場合は、一般建設業で考えます。

申請と更新にも、費用がかかります

国土交通省によると、都道府県知事の一般建設業許可だけを申請する場合、許可行政庁に納める手数料は新規申請が9万円、更新が5万円です。一般と特定を同時に申請する場合などは、金額が変わります。

行政書士に頼む場合は、これとは別に依頼費用がかかります。納め方(収入証紙か現金か)は都道府県によって違うので、申請先に確認してください。

取ったあとに、毎年かかり続けます

許可の話でいちばん抜けやすいのが、ここです。

取ったら終わりではありません。

1つめ。許可は5年ごとに更新します(建設業法3条3項)。更新の申請は、有効期間が満了する30日前までに行う必要があります。 更新しなければ、期間が過ぎた時点で効力を失います。

2つめ。毎年、決算の書類を出します。 建設業法11条2項に、毎事業年度が終わってから4か月以内に提出すると書かれています。いわゆる決算変更届です。5年ごとの更新とは別に、毎年です。

会社にいた頃、事務の人が決まって忙しくなる時期がありました。12月の師走と、2月から3月のころです。独立すると、その山が自分のところに来ます。許可を取れば、そこに毎年の届出がもう1つ加わります。

「取り方」を書いた記事はたくさんありますが、続け方まで見てから決めたほうがいいと思います。

無許可で請けると、どうなるか

建設業法47条1項1号に、はっきり書かれています。

許可を受けないで建設業を営んだときは、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。 2項では、情状により両方が科されることもあるとされています。

そして、罰は金額だけではありません。建設業法8条は、拘禁刑以上の刑を受けた場合や、建設業法違反で罰金刑を受けた場合について、刑の執行が終わった日などから5年間を欠格期間としています。 その間は許可を受けられません。無許可営業は、罰金を払えばそれで終わり、とは限らないということです。

だから、建築一式工事以外で500万円が見えてきた段階で、契約する前に確認してください。

もし契約したあとで金額を超えていることに気づいた場合も、放置しないでください。 すぐに許可行政庁へ相談してください。

よくある質問

Q. 年間の売上が500万円を超えたら、許可が要りますか?

年間の合計だけでは決まりません。基本は1件ごとの請負代金で見ます。

ただし、1つの工事の完成を複数の契約に分けた場合は原則として合計しますし、支給材料があればその市場価格なども足します。 その結果が500万円以上になるなら、許可が必要になる可能性があります。

逆に、年間の請負額が600万円でも、建築一式工事以外の1件が500万円以上なら、許可が必要です。

Q. 元請から材料をもらっている場合はどうなりますか?

その材料の市場価格を、請負代金に足して数えます。(運んでもらったなら運送賃も)手間請けで400万円でも、支給された材料が200万円分あれば600万円です。ここは見落としやすいところです。

Q. 一人でも許可は取れますか?

法律上、個人事業主でも取れます。要件は法人と同じ4つです。ただし、財産的基礎(自己資本500万円以上または500万円以上の資金調達能力)は、規模に関係なく必要です。

Q. 資格を持っていませんが、営業所技術者になれますか?

取りたい許可業種の工事について10年以上の実務経験があれば、資格がなくてもなれる場合があります(建設業法7条2号ロ)。指定学科を出ている場合は、高校卒業後5年以上、大学・高専卒業後3年以上に短くなります。

ただし、工事の種類と、経験を確認できる資料が必要です。 現場にいた年数を全部そのまま数えられるわけではありません。

Q. 500万円未満なら、何も届け出なくていいのですか?

建設業法の許可に限れば、そうです。 ただし、工事の種類によっては、別の法律にもとづく登録や届出が必要になります。

たとえば電気工事業は、500万円未満の工事しか請けない場合でも、登録や届出が要ります(経済産業省・都道府県の管轄)。解体工事も、土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可がなければ、解体工事業の登録が必要です(建設リサイクル法)。

開業届や確定申告など、許可とは別の手続きも残ります。 また、元請から許可の有無を聞かれることはありますし、現場によっては許可があることが条件になる場合もあります。

まとめ

  • 建築一式工事以外では、1件500万円未満なら建設業の許可は要りません(建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅)
  • 数え方に注意が3つ。税込みで見る/1つの工事の完成を分けて請けたら合計/支給材料はその市場価格を足す
  • 追加工事で積み上がるパターンに注意。 合計が見えてきたら、契約する前に許可行政庁に確認を
  • 型枠の仮定では、1,000平米を一人で叩けば33日から67日ほど。工期によっては応援が必要になる規模です(単価も一日に進む量も業種で変わるので、ご自身の職種で置き換えてください)
  • 要件は4つあり、別に欠格要件(8条)もあります。 年数だけでなく、取りたい業種の実務経験と、その経験を確認できる資料、財産的基礎を確認してください。どこが壁になるかは人によって違います
  • 「専任技術者」は2024年12月13日から「営業所技術者」になりました(名称のほか、現場との兼務の特例も設けられています)
  • 知事許可の一般建設業だけを申請する場合、手数料は新規9万円・更新5万円(行政書士に頼むならその費用は別)
  • 取ったあとが本番です。5年ごとの更新(申請は満了の30日前まで)に加えて、毎事業年度の終了から4か月以内に決算の書類を出し続けます
  • 無許可で請けない。 建築一式工事以外で500万円が近づいたら、契約する前に確認を

許可を取るかどうかは、金額と要件と、続ける手間を並べてから決めることになります。判断そのものは、許可行政庁か行政書士に確認してください。 この記事は「自分に関係がある話かどうか」を確かめるためのものです。

書類まわりで手が止まっているところは、トランジットでお手伝いできます。XのDM(@transit_40)かLINEからどうぞ。許可の申請書の作成や官公署への提出はお受けできません(行政書士の領域です。詳しくはこの書類、誰に頼めばいい?に書きました)。

なお最初のご相談では、個人情報の入った書類を送らないでください。 まず、書類の名前・人数・期限を教えてください。

出典

  • e-Gov法令検索:建設業法(昭和24年法律第100号)3条・7条・8条・11条・47条
  • e-Gov法令検索:建設業法施行令(昭和31年政令第273号)1条の2・2条
  • e-Gov法令検索:建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)7条
  • 国土交通省:建設業の許可とは
  • 国土交通省:許可の要件
  • 国土交通省:許可申請の手続き
  • 栃木県:建設業法等の一部改正について(施行日:令和6年12月13日)
  • 国土交通省:監理技術者等の専任現場兼務、営業所技術者等の専任現場兼務について
  • e-Gov法令検索:電気工事業の業務の適正化に関する法律(昭和45年法律第96号)
  • e-Gov法令検索:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)21条

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