雨で現場が止まった日|その日の手間賃と、工期はどうなるのか

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(2026年9月時点の法令情報です。制度は変わることがあるので、実際の判断は許可行政庁や専門家に確認してください)

雨の中止は、いろいろな形で伝わってきます。

前の晩に決まることもあれば、朝になって決まることもある。現場に着いてから「今日は無理だな」となることもあります。 連絡してくるのも、元請だったり、職長だったり、社長だったり、同じ班の人だったり。電話のこともあれば、グループLINEに流れてくることもありました。

私がいた会社では、決まった形がありませんでした。 段取りのいい会社なら、連絡の道筋を一本にしているかもしれません。

そして、その日の手間賃がどうなるかも、現場や契約、会社の方針によって変わります。

先に、この記事の結論を書きます。

  • 雨で休んだ日の扱いは、雇われているのか、請負で入っているのかで変わります。 そのうえで、契約や就業規則の中身によります
  • 雨で止まる可能性は、工期を決めるときに考慮する要因のひとつとされています。国が示している基準に書かれています
  • 請ける前に確認しておくのは3つ。 中止を誰が決めるか、その日の扱い、工期をどう決めたか

この記事でわかること

  • 雨で休んだ日の扱いが、どこで決まるか
  • 雨の日が、工期を決めるときにどう扱われるか(雨休率)
  • 遅れを取り戻すときに、何を残しておくか

雨で現場が止まったとき、会社に雇われている人は休業に至った事情・労働契約や就業規則・労基法26条の対象かを確認し、一人親方として請負で入っている人は日額か一式か・中止日の取り決め・工期と代金の変更条項を確認する。どちらも中止日と連絡内容を残し、遅れが小さいうちに次の段取りを相談する

その日の手間賃は、どこで決まるか

まず、自分がどちらの立場かで話が変わります。

会社に雇われている場合

労働基準法26条に、休業手当という仕組みがあります。

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

雨天による中止だから一律に対象外になる、というものではありません。 天災などの不可抗力にあたる場合は支払義務がないことがありますが、不可抗力といえるかどうかは、会社が通常の注意を尽くしても休業を避けられなかったかなど、個別の状況で判断されます。

実際の支払いは、休業に至った事情に加えて、労働契約や就業規則、給与の決め方を確認することになります。

日給月給では、働かなかった日を控除する決め方もあります。ただし、会社都合の休業として26条が当てはまる場合は、休業手当の確認が必要です。

私がいた会社は日給月給で、雨で休んだ日の分は出ませんでした。 半日分をつける会社もあるとは聞きましたが、これは私がいた会社と、周りで聞いた範囲の話です。

一人親方として請負で入っている場合

労働基準法上の労働者ではなく、請負として仕事をしている場合、26条の休業手当は適用されません。

「1日いくら」で、動いた日数に応じて支払われる契約なら、中止した日は報酬が発生しないことがあります。 ただし、中止のときの扱いを別に決めていれば、その定めが基準になります。

「この工事でいくら」という一式の契約では、雨で作業日が減っても、すぐに請負代金が変わるとは限りません。 工期や代金を変えられるかどうかは、契約書の定めと協議によります。

雨の日は、工期を決めるときに考慮する要因です

国土交通省の中央建設業審議会が「工期に関する基準」を決めています(令和2年7月20日決定、令和6年3月27日最終改定)。

そこに、工期を設定・見積もるときに考慮する事項として、自然要因が挙げられています。降雨日・降雪日のほか、猛暑日や、河川の出水期、寒冷・多雪地域の冬期休止なども含まれます。

どれくらい見込むかの例も書かれています。

国土交通省発注の土木工事においては、施工に必要な実日数に雨休率を乗じた日数を「降雨日」として設定。なお、雨休率については、地域ごとの数値のほか、0.7 を用いることも可

これは国土交通省が発注する土木工事の参考例です。 民間工事や下請の契約に、この数字がそのまま当てはまるわけではありません。

それでも、雨で動けない日があることを工期の段階で考えておくという考え方は、公式に示されています。

「元下間で協議して工期に反映する」と書かれています

同じ基準に、こう続きます。

(※)上記及びその他の気象、海象などを含む自然要因については、必要に応じて、受発注者間及び元下間で協議して工期に反映する。

天候で工期が押したときに、下請の側から工期の相談を持ちかけることは、この基準の想定の中にあります。 言い出しにくい話ですが、筋の通らない相談ではないということです。

短すぎる工期は、法律で禁じられています

建設業法19条の5に、こう書かれています。

注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。

2項では、建設業者(=建設業の許可を受けた人)の側にも同じことが定められています。

違反した発注者には、勧告の仕組みがあります。 建設業法19条の6第2項です。許可を受けた建設業者と、500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の請負契約を締結した発注者が対象で、許可行政庁が特に必要があると認めるときに勧告でき、従わなければその旨を公表できるとされています。

雨などの自然要因を考えたかどうかは、その工期が適正だったかを判断する材料のひとつになります。 ただし、雨の日を見込まなかったことだけで、ただちに「著しく短い工期」と決まるわけではありません。

遅れを取り戻すとき、何を残しておくか

工期が動かないまま雨が続くと、取り戻し方は限られます。

  • 応援を入れて、人数で詰める
  • 休みの日に出る
  • 残業で詰める
  • 工期を延ばしてもらう

私がいた現場でいちばん多かったのは、応援を入れる形でした。 人を増やせば、その日に進む量は増えます。

私が経験した一式請負では、応援の人工も請負金額の中でやりくりしていました。 だから、雨のあとに何人の応援を何日入れたかを残しておくと、次の見積りや工期を考える材料になります。

そして、遅れが小さいうちに共有できれば、選べる手が増えます。 応援を入れるのか、工程を組み替えるのか、工期を相談するのか。元請にとっても、完成の直前に足りない日数を知らされるより、段取りを組み直しやすいはずです。

請ける前に、3つだけ確認しておく

雨が降ってから聞くと、話が難しくなります。 請ける前なら、ただの確認です。

1. 中止は誰が決めて、どこから連絡が来るか

前の晩なのか、朝なのか。誰から誰に伝わるのか。決めておくだけで、朝の空振りが減ります。

グループLINEで流れてくる現場なら、そこに記録が残ります。 電話だけだと残りません。電話で受けたら、自分のメモに日付を残しておいてください。

2. 中止になった日の扱い

「1日いくら」で入るなら、入れなかった日はどうなるのか。 聞きにくければ、「雨の日の扱いだけ先に伺っておきたい」で十分です。

3. 工期を、どう決めたか

契約書には、天候で工期が変わったときの決めごとを書く欄があります。 建設業法19条1項7号です。

天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め

欄があるかどうかだけでなく、中身まで見てください。 工期の変更、損害の負担、その算定方法が、どう書かれているか。

想定を超える雨や台風も、契約書で確認します

工期を決めるときは、通常見込まれる降雨日などを考慮します。

一方、台風や豪雨による中止が、契約上の「天災その他不可抗力」にあたるかどうかは、契約書の定めと実際の状況によって変わります。 きれいに二つに分かれるものではありません。

ここで、2次・3次で入っている場合の話をしておきます。

元請と発注者の間の契約内容までは、分からないことがあります。 そして実際には、自分と直接の注文者との間でも、注文書だけで進んだり、口頭で話が進んだりすることがあります。(本来は、直接の契約当事者どうしで、建設業法19条1項に沿った書面を相互に交付することになっています)

書面がないなら、聞いておくしかありません。

台風で何日か止まった場合、工期と追加費用はどう扱いますか。決まった内容を、注文書かメッセージに残してもらえますか。

その場で答えが出なくても、聞いておけば、実際に止まったときの話が早くなります。

よくある質問

Q. 元請から「雨の分は自分たちで詰めて」と言われました。

まず、契約でどう決まっているかを確認してください。 工期の変更について、契約書に定めがあるはずです(建設業法19条1項6号・7号)。

そのうえで、詰め方に無理があるなら、その中身を具体的に伝えてください。 「休みの日に何人出しても何日足りない」という形で示すほうが、話が進みます。

何日止まって、何人の応援を入れたかが残っていれば、その話が早くなります。

まとめ

  • 雨で休んだ日の扱いは、雇われているのか、請負なのかで変わります。 そのうえで、休業に至った事情と、契約や就業規則の中身によります
  • 雨で止まる可能性は、工期を設定・見積もるときに考慮する要因とされています。国交省が発注する土木工事では、雨休率を使って降雨日を設定する方法が採られています(民間工事や下請契約に、その数字がそのまま当てはまるわけではありません
  • 自然要因については、元請と下請の間で協議して工期に反映すると基準に書かれています。言い出しにくくても、筋の通らない相談ではありません
  • 著しく短い工期の契約は、建設業法19条の5で禁じられています
  • 請ける前に3つ——中止を誰が決めるか/その日の扱い/工期をどう決めたか

雨で1日飛ぶと、その日は取り返せません。ただ、何日止まって、どう詰めたかを残しておけば、次の見積りと工期の材料になります。

先に決めておけば、雨の朝に確認する話が減ります。 濡れた道具を片付けながら電話で揉めるより、そのほうがお互いに楽だと思います。

追加の指示を受けたときの記録の残し方は、追加工事を口頭で頼まれたらにまとめました。 人に仕事の一部を出すときの書類は、再下請負通知書の記事にあります。

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なお最初のご相談では、個人情報の入った書類を送らないでください。 まず、何の書類が、いつまでに必要かだけ教えてください。

出典

  • e-Gov法令検索:建設業法(昭和24年法律第100号)19条・19条の5・19条の6
  • e-Gov法令検索:建設業法施行令(昭和31年政令第273号)5条の8
  • e-Gov法令検索:労働基準法(昭和22年法律第49号)26条
  • 厚生労働省:休業手当と不可抗力の考え方
  • 国土交通省 中央建設業審議会:工期に関する基準(令和2年7月20日決定/令和6年3月27日最終改定)

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