2026-07-31

医療保険は要る人・要らない人|月3万円払っていた私が考え直した順番

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結婚してしばらく、私は保険に月3万円以上を払っていました。

内訳はこうです。医療保険を夫婦それぞれ。がん保険も夫婦それぞれ。貯蓄型のものを夫婦それぞれ。私だけ外貨建ての終身保険と、掛け捨ての生命保険。妻の医療保険には、女性特有の疾患に備える保障を足していました。

当時、夫婦ともに20代で、子どもはいませんでした。当時の私たちの家計と目的に対しては、明らかにやりすぎでした。

月3万円は、年間にすると36万円以上です。月で見ているうちは気になりませんでした。

この記事は、その状態から抜けるまでに何を考えたかを、順番に書いたものです。

この記事でわかること

  • 医療保険が要る人・要らない人の分かれ目
  • 保険を考える前に確認するもの
  • 見直すときに踏む順番
  • 独立して国保になったら変わること

保険証券を並べた夜の食卓

「入っておくもの」が、常識に見えた

きっかけは、周りでした。

結婚すると、保険には入っておくものだ。そういう話が自然に出てきます。何度も聞くうちに、それが世の中の常識なのだと思いました。そして、保険の相談窓口に行きました。

窓口では、簡単なライフプランを一緒に組みながら、必要な保障を設定してもらいました。説明は丁寧でした。

ただ、自分たちのライフプランを、自分たちで見てはいませんでした。 「このくらいの年齢なら、このくらい」という世間の平均に自分を当てはめて、それで納得していました。

そして、話を聞いているうちに、備えていない状態の不安を強く意識するようになりました。もし入院したら。もし大きな病気をしたら。そう考えると、すすめられたものが全部必要に見えます。

今になって思うのは、窓口が悪かったわけではないということです。問題は、自分が何も分からないまま座ったことでした。 断る理由も、比べる基準も持っていませんでした。

保険を考える前に見るもの

保険は、公的な制度で足りない部分を埋めるものです。だから、先に確認するのは公的な制度のほうです。

順番はこうなります。

① 治療費はいくらで止まるか

健康保険には高額療養費という仕組みがあり、1か月の保険診療の自己負担には上限があります。年収によって変わりますが、上限を超えた分は戻ってきます。差額ベッド代や食事代は対象外です。

2026年8月から上限額が上がり、年間の上限も新しく始まります。詳しくはこちらの記事にまとめました。

② 働けない間、お金は入ってくるか

会社員が入る健康保険には傷病手当金があります。給与のおよそ3分の2が、通算で1年6か月まで支給されます。

一方、一人親方の多くが入る国民健康保険には、これが原則ありません。法律上は「行うことができる」給付で、義務ではないからです。加入先が独自の給付を設けている場合もあるため、確認は必要です。

③ 仕事中のけがはどうなるか

労働者に当たらない一人親方は、労災保険に特別加入していなければ、原則として給付を受けられません。特別加入していても、仕事や通勤との関係など、所定の要件を満たしたものが対象です。加入しているかどうかと、何が対象になるかは、加入している団体に確認してください。

この3つを確認すると、どこまでが公的な制度で守られていて、どこからを自分で用意するのかがはっきりします。保険を使うかどうかは、そのあとの話です。

要る人・要らない人の分かれ目

先に整理しておきます。この記事で扱っているのは医療費への備えです。

保険は、目的ごとに別物です。名前が似ていても、備えている相手が違います。

医療費への備え死亡・収入減への備え
何に使うお金か入院・手術・通院の費用生活費・家賃・学費
公的な制度高額療養費傷病手当金(会社員)/労災(要件を満たす場合)/遺族年金(要件を満たす場合)
確認するもの対象外になる費用と、すぐ使える現金何か月暮らせるか、支える人がいるか
民間で埋めるなら医療保険収入を補う保険・生命保険

まとめて考えると、どれがどれだけ必要なのか分からなくなります。 私が積み上げていたのは、まさにその状態でした。

そのうえで、医療費への備えが必要かどうかは、次の2つで大きく変わります。

貯金でまかなえるか

入院や手術で数十万円かかったとき、貯金から出せるなら、保険で備える必要は小さくなります。逆に、手元にほとんど現金がないなら、備えの価値は上がります。

保険料は毎月出ていくお金です。同じ額を貯金に回したほうがいい人もいます。医療保険に月1万円払えば、10年で120万円になります。

高額療養費で、どこまで止まるか

保険診療の自己負担は、高額療養費で上限が決まります。一方、差額ベッド代や食事代は対象外で、上限では止まりません。

自分の限度額がいくらで、対象外の費用がどれくらいかかりそうか。 ここが分かると、医療保険で埋めたい金額が具体的になります。

死亡や収入減への備えは、別に数える

自分が亡くなったとき、あるいは長く働けなくなったときに困る人がいるかどうか。これは医療費の話ではなく、生命保険や収入を補う保険の話です。

ここで効いてくるのが、さきほどの傷病手当金と労災です。会社員と一人親方では、収入が止まったときに公的な制度で守られる範囲が違います。

私が保険を積み上げていた頃は、子どもがいませんでした。それなのに、家族を支える前提の保障まで持っていました。目的ごとに分けて数えていなかったからです。

私が見直した順番

毎月、お金がなかなか残りませんでした。そこからお金のことを勉強しはじめて、自分たちには必要性を説明できない契約がいくつもあると気づきました。

ただ、気づいてすぐ解約できたわけではありません。やめた直後に何かあったらどうしようという怖さがありました。

その怖さが消えたのは、次のことを順番にやったからです。

  1. 知識をつける(公的な制度と、保険の仕組みを知る)
  2. 生活防衛資金を貯めながら、ライフプランを立てる(現金を厚くするのと、いつ何にお金が要るのかを並べるのは、同時に進めました)
  3. そのうえで、必要な保障だけ残す

最初にやることは、書き出すこと

3つ目にたどり着く前に、まず入っているものを全部書き出しました。並べたのはこの項目です。

  • 保険料(月額と、年額に直したもの)
  • 何が起きたときに受け取れるのか
  • 受け取れないのはどんなときか(支払われない条件や、契約してから保障が始まるまでの期間)
  • いくら受け取れるのか
  • 保障がいつまで続くのか
  • 今やめたら、いくら戻るのか
  • 全部やめる以外に、特約を外す・減らす・払込をやめるという方法があるか

書き出して初めて、総額と、保障が重なっている場所が見えました。紙に並べるまで、自分が何に払っているのか説明できませんでした。

順番が大事でした。知識がないまま解約すると、ただ不安になります。現金がないまま解約すると、本当に困ります。先に土台を作ってから外すと、判断が感情ではなく理屈になります。

気づけてよかった、というのが今の実感です。

見直す前に知っておくこと

ひとつ、正直に書いておきます。

保険は、やめると同じ条件で入り直せないことがあります。 年齢が上がれば保険料は上がりますし、健康状態によっては加入を断られる場合もあります。貯蓄型のものは、途中でやめると払った額を下回ることがあります。

乗り換えを考えるときは、さらに気をつけることがあります。

  • 新しい契約が成立して、保障が始まったことを確認してから、今の契約をやめる。先にやめると、間が空いて無保障になることがあります
  • 契約してすぐには保障が始まらない期間が決められている商品があります(がん保険などで見られます)
  • 解約以外の選択肢があるかを確認する。特約だけ外す、保障額を減らす、払込をやめて保障を小さく残すといった方法が用意されている場合があります

だから「いらないものは解約しましょう」とは書きません。外す判断には、入るときと同じかそれ以上の情報が要ります。この記事も、その材料のひとつとして読んでください。実際に見直すときは、契約している保険会社や代理店に条件を確認してください。

独立して、国保になってから変わったこと

会社を辞めて国民健康保険になると、傷病手当金が原則としてなくなります。ここが一番大きい変化でした。

治療費のほうは高額療養費で上限が決まっています。けれど、働けない間の収入については、公的な保障を前提にできない場合が多くなります

そう考えると、優先順位が変わりました。

  • まず、労災保険の特別加入の状況を確認する。加入しているか、何が対象になるか。労働者に当たらない一人親方は、加入していなければ原則として給付を受けられません
  • 次に、現金をどれだけ持っておくか。何か月働けなくても暮らせるか
  • そのうえで足りないと判断するなら、働けない期間の収入を補う保険を検討する余地はあります

会社員の頃と同じ感覚のままだと、備える場所を間違えます。

よくある質問

Q. 医療保険は、誰にとっても不要ということですか?

A. 違います。貯金が少ない時期や、高額療養費の対象外になる費用が心配な場合には、役に立ちます。この記事は「全員に必要とは限らない」と書いています。

なお「支える家族がいるか」は、医療保険ではなく、生命保険や収入を補う保険の判断材料です。

Q. 貯蓄型と掛け捨て、どちらがいいですか?

A. 一律の正解はありません。比べるなら、保険料、保障される期間、保険料を払い終える時期、途中でやめたときにいくら戻るのか。この4つを並べて確認します。数字を並べずに「どちらが得か」だけで決めるのが、いちばん危ないと思っています。

Q. 何から手をつければいいですか?

A. 加入している保険の一覧を作ることからです。項目は本文に挙げました。私も、書き出すまで総額を把握していませんでした。

Q. 見直すのは、どんなタイミングですか?

A. 生活の形が変わったときです。結婚、出産、住宅の購入、独立、法人化、子どもが独立したとき。必要な保障は、そのたびに増えたり減ったりします。 入ったときのまま何年も持ち続けているなら、一度並べてみる価値はあります。

Q. 一人親方が最初に確認することは何ですか?

A. 個別の加入判断はできませんが、労災保険の特別加入の状況は、早めに確認しておく項目のひとつです。労働者に当たらない一人親方は事業主の扱いになるため、特別加入していなければ原則として給付を受けられません。加入の有無と対象になる範囲は、加入している団体や労働局の窓口で確認できます。

Q. 相談窓口に行くのは、やめたほうがいいですか?

A. そうは思いません。ただ、行く前に公的な制度を知っておくと、話の聞き方が変わります。分からないまま座ると、比べる基準がないまま決めることになります。

まとめ

  • 医療保険は、全員に必要なものではない
  • 先に見るのは公的な制度。治療費の上限・働けない間の収入・労災の3つ
  • 医療費への備えの分かれ目は、貯金でまかなえるか・高額療養費でどこまで止まるかの2つ
  • 死亡や収入減への備えは、医療保険とは別に数える
  • 見直すなら、知識・現金・ライフプランを先に用意する
  • やめると同じ条件で入り直せないことがある。外す判断も慎重に
  • 独立して国保になったら、傷病手当金は原則ない前提で組み直す

私は、何も知らないまま月3万円を払っていました。金額そのものより、理由を説明できないまま払い続けていたことが問題だったと思っています。

(2026年7月時点の情報です。この記事は、特定の保険商品の販売や推奨を目的としたものではありません。加入や解約の判断は、契約内容とご自身の状況をふまえて行ってください。公的な制度の適用は、加入している健康保険や労働局の窓口へご確認ください)

(出典:厚生労働省・高額療養費制度全国健康保険協会・傷病手当金国民健康保険法(第58条)厚生労働省・労災保険への特別加入金融庁・保険契約の見直しに関する情報提供

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