持込機械等使用届の書き方|電動工具と重機は同じ用紙なのか
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(2026年9月時点の情報です。様式は元請ごとに、制度は改正で変わります。実際の判断は元請の担当者や、労働基準監督署、専門家に確認してください)
会社にいた頃、持込機械の使用届を書いたことがあります。数えるほどですが。
製造番号のようなものを見ながら書きました。丸のこも、インパクトも、コンプレッサーも、同じ用紙に並んでいた気がします。重機の届は、別の紙だった気がします。
独立すると、自分が持ち込む道具の分を、自分で書いて出す側になります。この記事は、その一枚の話です。
先に線を1本引いておきます。 使用届は、元請が現場に入る機械を把握するための書類です。届を出して受け付けられても、法令で決まっている点検や資格が終わったことにはなりません。この2つは、別のものです。
この記事でわかること
- 持込機械の使用届が、重機用と電動工具用の2種類に分かれていること
- 電動工具用の届に書く欄と、裏面の点検表で見るところ
- 届とは別に、法令で決まっている点検・資格・特別教育の代表例
- 2027年4月から、労働者と同じ場所で作業する一人親方等に加わる義務
- 受け付けられたあとに、元請へ確認すること
先に答えを置きます
- 用紙は大きく2種類。 重機・移動式クレーン等の届と、電動工具・電気溶接機等の届
- 元請指定の様式が優先。 全建統一様式は多くの現場が採用している型で、様式番号は版によって変わる
- 使用届は、元請が持込機械と点検状況を把握するための安全管理書類。 この様式の提出自体が全国一律の法定義務というわけではないが、機械ごとの点検、危険防止措置、資格や特別教育については、別に法令の定めがある
- 電動工具用の届に書くのは、機械名・規格性能・管理番号・持込日・搬出予定日・点検者・取扱者。 裏面が持込時の点検表
- 受け付けられたら、届済証を機械に貼る。 機械の追加、入替え、使用期間の延長、搬出時の扱いは元請に確認する
1. 持込機械の使用届は、大きく2種類あります

多くの現場で使われている全建統一様式(一般社団法人全国建設業協会)では、持込機械の届は2つに分かれています。
- 移動式クレーン・車両系建設機械等の使用届(様式第9号)
- 持込機械等(電動工具・電気溶接機等)使用届(参考様式)
前者はバックホウや移動式クレーン、高所作業車のような機械の届です。後者が、一人親方が自分で持ち込む工具の届になります。
電動工具用の届の記載例には、機械名の一覧がついています。 電動カンナ、電動ドリル、電動丸のこ、グラインダー等、アーク溶接機、ウインチ、発電機、コンプレッサー、ポンプ類、ミキサー類、鉄筋加工機、電動チェーンブロック、その他、という並びです(北海道建設業協会の記載例より)。
インパクトドライバーや釘打ち機の名前は、この一覧にありません。 「その他」に書くのか、そもそも届の対象にするのかは、元請の運用で違います。充電式の工具も同じです。迷ったら、元請の担当者に「これは届に載せますか」と聞くのが早いです。
もう一つ。様式番号は、版によって変わります。 全建統一様式の改訂6版(令和6年10月)では電動工具用の届は「参考様式第5号」ですが、それより前の版では第6号でした。番号で覚えるより、「電動工具用の届」「重機用の届」と名前で覚えておく方が、現場が変わっても迷いません。
2. 使用届は、元請が機械を把握するための安全管理書類です
厚生労働省の「元方事業者による建設現場安全管理指針」は、元請(元方事業者)が実施することが望ましい安全管理の手法を示したものです。その中に、こうあります。
元方事業者は、関係請負人に対する安全衛生指導を適切に行うため、次の事項等を関係請負人に通知させること等により把握しておくこと。(中略)④関係請負人が建設現場に持ち込む機械設備
(厚生労働省「元方事業者による建設現場安全管理指針のポイント」)
全建統一様式の使用届は、この把握を実務上記録するための代表的な様式です。 元請は届を受け付けることで、現場にどの機械が入っていて、誰が点検したかを確認します。
この様式の提出自体が、全国一律の法定義務というわけではありません。 指針は「望ましい手法」で、様式も元請ごとに違います。だからこそ、現場によって用紙が違い、書く欄も少しずつ違います。
だからといって、軽い書類ではありません。 元請が提出と受付を現場での使用条件にしていれば、届が通るまでその機械は使えません。現場への持込みと使用を、元請が確認するための材料だと考えてください。
届を出すのは、機械を持ち込む会社です。 記載例の注意書きには「当該機械を持ち込む会社(貸与を受けた会社が下請の場合はその会社)の代表者が届け出ること」とあります。レンタルの機械を借りて持ち込む場合も、借りた側が届けます。一人親方なら、自分の名前で出すことになります。
3. 電動工具用の届に書くこと

電動工具用の届の表面は、上の図の形です。上段に元請の事業所名と所長名、自分の会社名(一人親方なら屋号か氏名)、代表者名、電話番号。その下に、機械を1台ずつ書く表があります。
書く欄は7つです。
- 機械名。 電動丸のこ、グラインダー、アーク溶接機、コンプレッサーなど。一覧にある名前に合わせます
- 規格・性能。 まず銘板を確認し、元請の様式で求められている電圧・出力・能力などを書きます。銘板だけで分からない場合は、取扱説明書やレンタル会社の資料を確認します
- 管理番号。 自分で機械に付けた番号です。同じ機種が2台あるときに区別できます。管理番号の隣に受付番号の欄がありますが、こちらは元請が書く欄なので空けておきます
- 持込年月日。 その現場に持ち込む日
- 搬出予定年月日。 持ち出す予定の日
- 点検者。 裏面の点検表を確認した人
- 取扱者。 その機械を使う人。一人親方が自分で点検し、自分だけで使う場合は、点検者と取扱者の両方に自分の名前を書きます。別の人が点検・使用する場合は、実際の担当者を書きます
定型文には「下記機械等を裏面の点検表により、点検整備のうえ持込・使用しますので、お届けします」とあります。元請へ提出する前に、裏面の点検を済ませます。
4. 裏面の点検表では、工具のどこを見るか

裏面は、持込時の点検表です。機械ごとに項目があり、確認できたところに✔を入れます。
記載例に並んでいる項目を、種類で分けるとこうなります。
- 電気関係。 接地クランプ、キャップタイヤコード、コネクタ、接地端子の締結、絶縁ホルダー(溶接機)
- 動く部分。 操作スイッチ、各種ブレーキ、回転部の囲い、フックのはずれ止め(ウインチ等)、手すり・囲い
- 表示。 危険表示
- 圧力関係。 圧力スイッチ、安全弁、圧力計(コンプレッサー)
絶縁抵抗は、✔ではなく測定値を書く欄です。 記載例の注意書きにも「絶縁抵抗の測定については、測定値(MΩ)を記入すること」とあります。測っていない数値を、推測で書かないでください。 測定器がなければ、誰がどの方法で確認するのかを元請に聞きます。
項目の並びは元請の様式で変わります。ここに挙げたのは記載例のもので、全部ではありません。
5. 届とは別に、法令上の点検・資格・特別教育があります

届の点検表に✔を入れて受け付けられても、それで法令上の確認が終わったことにはなりません。機械ごとの点検、危険防止措置、資格や特別教育は、労働安全衛生法と規則に別の定めがあります。 代表例を表にします。
| 機械・作業 | 法令で決まっている確認(代表例) |
|---|---|
| 研削といし(グラインダー) | その日の作業を開始する前に1分間以上、といしを取り替えたときは3分間以上の試運転(安衛則118条)。取替えや取替え時の試運転の業務は特別教育(同36条1号) |
| アーク溶接 | 溶接棒のホルダー、自動電撃防止装置などの、その日の使用前点検(同352条)。アーク溶接等の業務は特別教育(同36条3号) |
| 一定の移動式・可搬式電動機械器具 | 対地電圧が150Vをこえるものや、水などで湿潤した場所、鉄板・鉄骨上など導電性の高い場所で使うものには、原則として感電防止用漏電しゃ断装置を接続(同333条)。漏電しゃ断装置の作動状態は、その日の使用前点検の対象(同352条) |
| 車両系建設機械 | 1年以内ごとの定期自主検査(同167条)、1月以内ごとの検査(同168条)、その日の作業開始前のブレーキ・クラッチの点検(同170条)。運転には能力に応じた技能講習か特別教育(安衛法61条・59条ほか) |
| 移動式クレーン | 1年以内ごとの定期自主検査(クレーン則76条)、1月以内ごとの検査(同77条)、作業開始前の点検(同78条)。運転にはつり上げ荷重に応じた免許・技能講習・特別教育 |
これは代表例で、機械の種類、能力、作業の条件によって変わります。 資格と特別教育も別のものです。技能講習や免許は修了証や免許証で証明する資格、特別教育は事業者が行う教育で、対象になる業務が法令で決まっています。
一人親方への適用は、いま動いています
ここからは、2026年9月現在の扱いと、2027年4月から始まる扱いを分けて見ます。
ここで紹介した点検規定の多くは、「事業者」を主語にしています。労働安全衛生法の事業者は「事業を行う者で、労働者を使用するもの」です(安衛法2条3号)。労働者を使わない一人親方が、それぞれの条文でどのような位置づけになるかは、機械や作業、請負関係によって一律ではありません。
ただし、「自分には関係がない」という意味ではありません。 元請が定める持込時の点検や現場の安全ルールに従い、必要な資格・教育についても作業前に確認します。
そして、制度は変わっています。
- 2023年4月から、健康障害のおそれがある一定の有害な作業を一人親方等に請け負わせる場合に、作業方法や保護具の使用などを周知する義務が事業者に加わりました
- 2025年4月から、事故時の退避や危険箇所への立入禁止といった措置の対象に、個人事業者等が加わりました
- 2025年5月に公布された改正法(令和7年法律第33号)で、個人事業者等は「保護対象・義務の主体」として位置づけられました。 注文者側の統括管理に個人事業者等を含める部分は2026年4月に施行済み。個人事業者等自身が講ずべき措置——構造規格や安全装置を具備しない機械等の使用禁止、車両系建設機械や移動式クレーン等を対象とする定期自主検査等の実施、危険・有害な業務に就く際の特別教育の受講——は、2027年4月1日から始まります(労働者と同じ場所で作業を行う場合)
厚生労働省の説明会資料では、対象として「車両系建設機械や移動式クレーン等」が示されています。具体的な対象機械や手続きは、2027年4月の施行までに、政省令などの最新情報を確認する必要があります。いま言えるのは、「届の点検表」と「法令上の点検・教育」は別であり、2027年4月からは、労働者と同じ場所で作業する個人事業者等自身にも一定の義務が加わるということです。
6. 重機用の届では、確認する欄が増えます
重機用の届(移動式クレーン・車両系建設機械等の使用届)には、電動工具用にはない欄があります。
- 自主検査の有効期限
- 移動式クレーン等の性能検査の有効期限
- 自動車検査証(車検)の有効期限
- 任意保険
- 運転者(取扱者) と、その資格
- 接触防止措置等
5章で見た定期自主検査や運転資格を、届の上で元請に示す形です。一人親方が重機を持ち込む場面は多くないかもしれませんが、レンタルの高所作業車や小型のバックホウを借りるときは、こちらの届になります。検査の有効期限は、自分で判断せず、レンタル会社に確認して写します。
7. 届を出したあとに確認すること

元請が受け付けると、届済証(受理証)が出ます。記載例の注意書きには「持込機械届受理証を持込機械に貼付すること」とあります。見やすいところに貼っておきます。 現場で元請の担当者が機械を見たとき、届が出ているかを一目で確認するためのものです。
そのあとで起きることは、元請の運用で違います。
- 機械を追加するとき——追加分の届を出すのか、一覧に書き足すのか
- 機械を入れ替えるとき——同じ管理番号でよいのか、別の届にするのか
- 搬出予定日を延ばすとき——延長の連絡だけでよいのか、届を出し直すのか
- 搬出するとき——届済証をはがすのか、何か連絡が要るのか
一次資料から言えるのは、搬出予定年月日を書くことと、届済証を貼ることまでです。 この4つは、現場が始まる前に元請の担当者に聞いておくと、後で慌てません。
よくある質問
Q. 充電式のインパクトドライバーも、届に載せますか?
A. 元請の運用で決まります。記載例の機械名一覧にインパクトドライバーの名前はなく、「その他」に書くのか、届の対象にするのかは現場ごとに違います。使い始める前に、元請の担当者に確認してください。
Q. レンタルの機械は、誰が届けますか?
A. 借りて持ち込む側です。記載例の注意書きに「当該機械を持ち込む会社(貸与を受けた会社が下請の場合はその会社)の代表者が届け出ること」とあります。一人親方が借りたなら、自分の名前で届けます。
Q. 絶縁抵抗の欄を、自分で埋められないときは?
A. 記載例には、絶縁抵抗の測定値をMΩで書く欄があります。測定していない数値を推測で書かず、誰が、どの方法で確認するのかを元請へ聞いてください。
Q. 届を出さずに使ったら、どうなりますか?
A. この使用届を出さなかったことだけを理由に、全国一律で同じ処分になるとはいえません。ただし、元請が提出と受付を現場の使用条件にしていれば、提出するまで使えない、書き直しを求められるといった扱いはあり得ます。使い始める前に、元請のルールを確認してください。
Q. 代行を頼む前に、何を準備すればいいですか?
A. 元請から渡された様式、機械名、規格・性能(銘板の表示)、自分で付けた管理番号、持込日と搬出予定日、点検者と取扱者の名前です。裏面の点検表は、機械を実際に見た人が✔を入れます。送るものの整理は書類の代行に何を送ればいい?にまとめています。
まとめ
- 持込機械の使用届は、重機用と電動工具用の2種類。 丸のこ・グラインダー・溶接機・コンプレッサーは電動工具用の例にある。インパクト・釘打ち機・充電式は元請に確認
- 元請指定の様式を先に確認する。 全建統一様式は多くの現場の型で、様式番号は版で変わる
- 電動工具用の届に書くのは7つ——機械名・規格性能・管理番号・持込日・搬出予定日・点検者・取扱者。裏面の点検表を先に済ませ、絶縁抵抗は推測で書かない
- 届と、法令上の点検・資格・特別教育は別。 届を受け付けられても、法令上必要な点検や資格に代わるものではない。2027年4月からは、労働者と同じ場所で作業する一人親方等にも、対象となる機械の定期自主検査や、危険・有害な業務に就く際の特別教育の受講が義務になる
- 受付後は届済証を貼る。 追加・入替え・延長・搬出の扱いは元請に確認する
会社にいた頃に書いたのは、数えるほどでした。独立すると、その一枚の裏で、自分の道具を自分で点検して、自分の名前で出すことになります。書き始める前に、元請指定の様式と、追加・入替え・搬出時の扱いを確認しておけば、あとから書き直す手間を減らせます。
トランジットの新規入場セットでは、 作業員名簿、再下請負通知書、持込機械関係書類の3種類をまとめています。実際に必要な書類は、立場や現場によって変わるため、元請から渡された提出一覧を先に確認してください。名簿は作業員名簿の書き方、応援を呼ぶときは再下請負通知書とは、全体の見取り図は一人親方の安全書類、結局なにを出せばいい?にまとめています。持ち込む工具を買った年の経費の扱いは工具や機械は、いくらまでその年の経費?へ。
トランジットでは、ご本人が確認・判断した内容を、元請さんから渡された様式へ入力して整えるという形で、現場書類のお手伝いをしています。持込機械の使用届もその範囲です。機械の点検そのもの、点検結果の判断、資格や特別教育の要否の判断は行いません。 点検表の✔は、機械を実際に見たご本人が入れてください。
最初のご相談では、記入済みの様式を送らないでください。 まず 「何の書類が、何台分、いつまでに」 だけ教えてください。
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参考にした公式情報
- 厚生労働省:「元方事業者による建設現場安全管理指針のポイント」(元方事業者による建設現場安全管理指針=平成7年4月21日 基発第267号の2)
- 一般社団法人全国建設業協会:書籍案内「(改訂6版(令和6年10月))全建統一様式 記載例及び解説」(収録様式の一覧)
- 一般社団法人北海道建設業協会 労務研究会:「持込機械等(電動工具・電気溶接機等)使用届」記載例(2018年2月)
- e-Gov法令検索:労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)2条・45条・59条・61条
- e-Gov法令検索:労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)36条・118条・167条・168条・170条・194条の23・194条の27・333条・352条
- e-Gov法令検索:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)76条・77条・78条
- 厚生労働省:「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要」
- 厚生労働省:改正労働安全衛生法説明会資料「個人事業者等の安全衛生対策の推進について」(施行スケジュール)
- 厚生労働省:基発0415第1号「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の施行等について」(令和4年4月15日)
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